法定地上権

法定地上権を分かりやすく言うと

抵当権を実行されても一定の要件を満たしたら法律上当然に地上権が発生するものが「法定地上権」です。

どういうことかというと、抵当権が実行された結果、競売で建物を買った人がいても、建物が建っている土地を使用できなければ建物に入ることはできません

そんなチグハグなことをしていては日本も終わりなので、土地を使えるように法律上当然に地上権を発生させましょうということです。

問題を解決するために法定地上権がある

・問題点
以下の図を見てください。土地建物を所有しているBは土地だけに抵当権を設定されています。その土地の抵当権が実行されたことによって、土地はDのものになりました。
Bは土地の所有者なので土地を利用する権利がありません。では、建物を壊して出ていくしかないのでしょうか?せっかく建物は自分名義なのに…。

法定地上権

・解決策
Bが土地を使えるように、一定の要件を満たしたら法律上当然に地上権を発生させてあげよう!そうしたらBは建物を壊さなくて済む!

これを実現したものが法定地上権です。

法定地上権の成立要件

①抵当権設定当時に土地上に建物が存在していたこと(更地はダメ)

②抵当権設定当時に土地と建物の所有者が同一だったこと。

③土地または建物に抵当権が設定されていたこと。

④抵当権実行の結果、土地と建物の所有者が別々になったこと。

法定地上権のひっかけ論点

①要件を満たせば法律上当然に成立します。

登記は関係なく実体で決まる。

抵当権者が2人いる場合は、原則、先に設定された抵当権が法定地上権成立の基準になる。これは以下の問題形式で解説します。

(Q.)更地の甲土地にAが一番抵当権者として抵当権設定登記後、債務者が建物を築造した。その後、Cが二番抵当権者として甲土地に抵当権を設定登記した。Cが抵当権を実行した場合、Cに法定地上権が成立するか?法定地上権のポイント

(A.)成立しません。
一番抵当権を基準に法定地上権の成立は決定されるからです。一番抵当権を設定した当時に土地上に建物が存在していませんでした。

共有の場合のひっかけ論点

土地または建物が共有の場合は少し複雑になりますが、以下の結論をおさえておきましょう。

①土地共有なら法定地上権は成立しない。

②建物共有なら法定地上権は成立する。

③土地建物共有なら法定地上権は成立しない(①が優先されるということ)。

文字だけだけ分かりづらいのでそれぞれの例を見てみましょう。(ex.共有者のうちのAの持分に抵当権が設定されていた場合)

共有時の法定地上権

まだまだあるぞ法定地上権のひっかけ

Youtubeでも公開しています。

是非ご覧ください。

投稿者プロフィール

ふくや先生
ふくや先生
宅建士、司法書士、行政書士、貸金業務取扱主任者など法律系資格を取得。
法律未学習・高卒・フリーターから宅建試験をきっかけに法律の道を進む。
大手予備校で難関資格講座を5年間、宅建士講座を6年間の講師をして合格者を多数輩出。