宅建士

宅建士の役割・今後

宅建士の意義

宅建士は宅建業者(不動産屋さん)の中にいる不動産取引のスペシャリストです。

宅建業者に来るお客様はほとんどが不動産の専門知識がありません。「建物を建てられない土地なのに、建物を建築するつもりで土地を購入してしまった!」なんてことがあったらお客様の不利益になりますよね。

そこで、宅建業者には必ずスペシャリストである宅建士を置かなければならないことになっています。

例えば宅建業者の事務所の5人に1人以上は宅建士がいなければなりません。

なお、宅建士といえど多くの場合は不動産の売買や賃貸借など一般業務を行います。

しかし、宅建士の独占業務もあります。

宅建士の独占業務

宅建士の独占業務は3つです。

  1. 重要事項の説明
  2. 重要事項説明書への記名
  3. 契約書への記名

それぞれを解説します。

1. 重要事項説明

不動産の売買や賃貸の契約をする場合、知っておかなければならない重要な事項は多数あります。

例えば、その不動産にはどんな権利があるか(抵当権がついていたら大変!)、法令上の制限はあるか(この土地には建物は建築できない!)などです。

そういった重要事項については契約前に聞いておかなければ後々大変なことになりますよね。

そこで、宅建士に契約前に必ず重要事項説明しろという義務を課しています。

この重要事項説明は宅建士にしかできない独占業務であるため、説明する際に必ず宅建士証を提示します。

アパートやマンションを借りたことがある方なら覚えているでしょうか。契約直前に宅建士が宅建士証を机に置いて重要事項の説明をされたはずです。

2. 重要事項説明書への記名

上記1.の重要事項説明は通常位、書面に起こされています。その書面は重要事項説明書といわれます。

その重要事項説明書に宅建士が記名することが義務づけられています。記名をすることで、「宅建士が作成した」という証明になります。

なお、説明をした宅建士と、書面に記名・押印した宅建士が別人でもかまいません。
Xが説明をしたが、急用で別の宅建士であるYに交代したため書面への記名はYがしたということがあってもOKです。

宅建業法では説明と記名の一致は求められておらず、宅建士であれば誰でも可能なためです。

3. 契約書への記名

契約書は上記1.2.の重要事項説明書とは別物です。

契約をしたことを証明するために作成するのが契約書であり、よって契約書は契約後に売主・買主や貸主・借主に交付されます。

この契約書には宅建士の記名が必要です。上記2.と全く同じく宅建士であればかまいません。

契約書も宅建士が記名することで一定の内容が担保されるわけです。

宅建業者に勤めている従業員だともしかすると勤務1日目の右も左も分からない新人かもしれません。それでは不安が残るでしょう。そこで、宅建士が記名することで契約書の内容がに一定の担保がなされます。

宅建士の今後

不動産は永遠に無くならない物として有名です。

我々が踏みしめている土地がある限り不動産はなくなりません。

そして、宅建士はその不動産のスペシャリストとして法律上は宅建業者の事務所毎に5人に1人は必要ということになっています。

つまり「永遠になくならない物の取引に法律で設置規定が置かれている」という職業的にはとても恵まれた環境にいます。

昨今ではAIに仕事が取って替わられることが話題になり、新型コロナウイルスによって生活様式が一変したりと様々な変化が起こっていますが、宅建士の業務は不動産業界において引き続き重要な役割を担っています。

投稿者プロフィール

ふくや先生
ふくや先生
宅建士、司法書士、行政書士、貸金業務取扱主任者など法律系資格を取得。
法律未学習・高卒・フリーターから宅建試験をきっかけに法律の道を進む。
大手予備校で難関資格講座を5年間、宅建士講座を6年間の講師をして合格者を多数輩出。